2024年8月に入り、日経平均株価の暴落が発生した。“イキイキ豊かに生活”する上では、景気変動に対してその要因がどこにあるのか、この先どうなるのかをある程度理解できるよう、最低限の知識を蓄えておく必要があると思う。
今回、株価暴落の要因は複数あると言われているが、“アメリカの景気減速への懸念”が大きいみたいだ。これを見て、「完全に理解できる方、なんとなく理解できる方、よく分からない方、考えることを止める方…」といった様々な反応があると思うが、できる事なら理解できる部類に入りたい。
そんな中、経済の専門家の話はレベルが高く、経済に疎い人に対して納得感のある解説が少ないように感じている。したがって、経済に疎い人でも分かるよう、アメリカの景気減速の根拠となった「米国雇用統計」についてまとめてみたので参考にしてほしい。
株価を変動させる要因
そもそも株価はなぜ変動するのか?
株主が株を購入する理由はいくつかあるが、“配当金”と呼ばれる出資比率(持ち株数)に応じて還元される利益を得るため、株の“値上がり益”を得るの2点が大きいと思う。したがって、業績が上がると期待される銘柄は、株価が上がる。反対に、業績が悪化すると予想される銘柄は購入者が減る(=売りたいという人が増える)為、株価は下がる。将来への期待感を持てるか否かが株価を左右する要因といえる。
“米国雇用統計”の重要性
米国の経済規模は、世界の名目GDP(国内総生産)の約1/4を占め、米国の経済情勢が世界の経済に与える影響は大きい。その米国経済の約7割を占めているのが個人消費である。そして、個人消費の動向を把握する上で重要な指標を提供しているのが「米国雇用統計」である。特に「米国非農業部門雇用者数」と「失業率」は雇用情勢を把握するうえで重要であるとされている。
“米国雇用統計”の良し悪しの判断
「アメリカの経済指標が市場の予想を下回る」というニュースが溢れているが、指標の絶対値ではなく、市場予測との乖離が株価に影響を及ぼすケースが多い。
今回の日経平均株価の暴落を引き起こした要因
8月2日に発表された「米国雇用統計」を見てみる。2024年7月の「米国非農業部門雇用者数は前月比+11.4万人と、市場予想(+17.5万人)と前回結果(17.9万人)を大きく下回る結果。また、24年5-7月の月間平均増加ペースは+17.0万人増と24年1-3月期の+26.7万人増、23年通年の+25.1万人増から顕著に伸びが鈍化している。
その他、失業率は4.3%と4か月連続で上昇し、市場予想と前回結果(ともに4.1%)を上回り、2021年10月以来の高水準まで上昇。
市場予想 | 結果 | 市場予測との乖離 | |
非農業部門雇用者数 (7月) | +17.5万人 (参考:23年通期は +25.1万人) | +11.4万人 | ▲6.1万人 (昨年通期対比:▲13.7万人) |
失業率 | 4.1% | 4.3% | +0.2% |
この結果を受け、“とうとうアメリカの好景気は終わりを告げるのか?”という危機感から株が売却され、日経平均株価の下落につながったというわけである。
まとめ
以上、あくまでも「米国雇用統計」に注目してまとめてみたが、これだけの知識を持っているだけでも、冷静に市場動向を見る事ができると思う。なお、この記事を書いている8月6日は株価が持ち直している。これは、8月5日に発表されたアメリカのサービス業の景況感を示す7月の「ISM非製造業景気指数」が市場予想を上回った事が要因だ。このように、複数の要因が株価に影響を与える為、あらゆる指標を正しく理解し、世の中の動きを知る事で、“イキイキと豊かな生活”を送れるようにしていきたい。
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