生きていれば誰しもが一度は味わう合唱について、今現在人気のある国内作品について、合唱楽譜の販売を行っている「株式会社パナムジカ」が発表している過去10年間のランキングを参考に作成しました。参考動画も入れているので、演奏曲の選曲に悩んでいる方はご参考ください。※音取り音源も順次加えていきます。
- 合唱界で人気のある合唱曲 TOP10
- 第10位:混声合唱曲「こころよ うたえ」(作曲:信長 貴富)
- 第9位:混声4部合唱ピース「ほらね、」(作曲:松下 耕)
- 第8位:混声合唱組曲「終わりのない歌/あなたのことを」(作曲:上田 真樹)
- 第7位:混声合唱とピアノのための「くちびるに歌を」(作曲:信長 貴富)
- 第6位:混声合唱曲「ボクはウタ」(作曲:信長 貴富)
- 第5位:混声二部合唱・同声二部合唱「祈ってもいいだろうか」(作曲:信長 貴富)
- 第4位:混声合唱組曲「水のいのち」(作曲:高田 三郎)
- 第3位:女声合唱曲「合唱」(作曲:信長 貴富)
- 第2位:混声合唱曲「夜明けから日暮れまで」(作曲:信長 貴富)
- 第1位:群青(作曲:小田 美樹 編曲:信長 貴富)
- まとめ
合唱界で人気のある合唱曲 TOP10
第10位:混声合唱曲「こころよ うたえ」(作曲:信長 貴富)
2011年2月、福島の喜多方、郡山、郡山東、福島東の4校の合同演奏会の為に書かれた作品。東日本大震災で予定されていた合同演奏会が開催できなくなったことをうけて、2011年5月に京都合唱祭に4団が招待され、そこで初演されました。
詩は、一倉宏の詩集『ことばになりたい』(毎日新聞社)から最終連のみを使用しているとのことです。震災の1ヶ月前に、被災者を励ます曲が誕生したのは奇跡としか言いようがないです。終盤に向けてドラマティックな曲の展開が魂を奮い立たせます。個人的には、是非若い方に歌ってほしい曲です。
第9位:混声4部合唱ピース「ほらね、」(作曲:松下 耕)
東日本大震災のあと、歌で日本をつなげよう、歌で被災地を応援しようと企画されたカワイ出版の「歌おうNIPPONプロジェクト」のために書き下ろされた作品です。
「歌おうNIPPONプロジェクト」によって47曲の新曲と20曲のアレンジ曲が誕生しました。本プロジェクトは東日本大震災における、合唱界から大きな取り組みのひとつとなります。
松下耕氏が作曲した「ほらね、」は混声4部以外にも、同声3部・女声3部・男声4部と様々な編成で作成されており、団体の力量や編成に合わせて演奏することが可能です。合唱コンクールや卒業式、演奏会のアンコール等、どんな場面でも歌える曲という点が、今なお支持されているのだと思います。
第8位:混声合唱組曲「終わりのない歌/あなたのことを」(作曲:上田 真樹)
もともとは男声合唱として作曲された「男声合唱組曲 終わりのない歌」。男性の恋心を歌う甘酸っぱい男声合唱組曲の混声版です。作曲家が描く、切なく、激しく、美しく、どこか爽やかなハーモニー が魅力。
混声版では初演の際にアンコールピースとして作曲された「あなたのことを」を含む全6曲が含まれています。曲の始まりから“良い曲”と直感で分かるほど美しい曲であり、本作品も色々な場面で歌われております。
第7位:混声合唱とピアノのための「くちびるに歌を」(作曲:信長 貴富)
2005年に男声合唱版として初演された作品の混声合唱版。今や合唱界を席巻する信長作品の初期の名曲。組曲を構成する4曲のテキストは、いずれもドイツ語とその日本語訳から成っており、曲の中でドイツ語と日本語の歌詞が登場します。曲のタイトルでもある「くちびるに歌を」は、合唱コンクールや演奏会のメインステージで歌われております。
第6位:混声合唱曲「ボクはウタ」(作曲:信長 貴富)
コロナ禍の2021年、東京混声合唱団が合唱活動の盛り上げを目的として一般公募した作品の中から選ばれた詞に、信長貴富が作曲した混声合唱曲です。ウタの視点から書かれたユニークな詞と、キャッチーなメロディーが特徴です。
男声版・女声版もあり、団の編成に合わせて歌う事が可能です。後半に向けて盛り上がる曲調は、歌い手に感動をもたらします。クラス合唱の選曲の候補として考えてもよいかと思います。
第5位:混声二部合唱・同声二部合唱「祈ってもいいだろうか」(作曲:信長 貴富)
二部合唱であり、合唱初心者でも取り組みやすい楽曲です。谷川俊太郎の「草木に」「声」という二つの詩を組み合わせて作曲されており、穏やかで豊かな旋律が心の奥底に染み入り、温かい気持ちになる作品となってます。
第4位:混声合唱組曲「水のいのち」(作曲:高田 三郎)
1964年11月10日に日本合唱協会によって初演された、言わずと知れた不朽の名作です。「雨、みずたまり、川、海、海よ」の5曲から構成されており、豊かな抒情性で多くの人々に親しまれています。老若男女幅広く取り組める曲です。
第3位:女声合唱曲「合唱」(作曲:信長 貴富)
2021年10月、広島県合唱フェスティバルにて初演。広島県合唱連盟の60周年を記念する合唱曲として作曲されました。 平和の鐘を想起させるような力強いピアノの前奏から始まり、そこからコーラスは耳に残る美しい旋律で、詩の世界を広げていくような作品です。
コロナ禍で紡がれた作品として、作曲家自身も思い入れのある曲とのことです。 混声版もありますので、女声だけではなく混声でも歌う事が可能です。
第2位:混声合唱曲「夜明けから日暮れまで」(作曲:信長 貴富)
毎年3月に福島県で開催されている『声楽アンサンブルコンテスト全国大会』のテーマ曲です。東日本大震災から約1年後の第5回大会で初演されました。作詞した和合氏は福島県出身。
震災で犠牲になった方の命に対する“鎮魂”と、生き残った私たちが前に進んでいく“再生”を、幼い頃から育った福島の景色からインスピレーションを得て作詞されている。そこには、誰しもが持つ故郷に対する愛と誇りが根底にあり、全国的に広がっていった理由だと思います。
是非、多くの方がこの作品に触れていただき、歌い継いでいければと思います。
第1位:群青(作曲:小田 美樹 編曲:信長 貴富)
作詞は、福島県相馬市立小高中学校の平成24年度の卒業生です。彼らは東日本大震災当時の1年生。震災の犠牲と原発事故の避難の為、106名いた生徒が7名になる中、離ればなれになった友への想いや、ふるさとでの再会への決意を紡いで歌にしたのが本作品です。
小高区は「紅梅の里」と呼ばれており、小高中学校は紅梅の色をイメージした「エンジ色」がスクールカラーとなっているとのこと。「群青」は彼らの色を表しており、“群青の子ら”が“群青の町”で再開する事を思い描いているのです。
2013年3月に行われた復興支援コンサート「Harmony for Japan 2013」をきっかけに広く世に知られることになり、今や日本のみならず海外でも演奏され、各地で大きな感動を呼んでいます。様々な編成で作成されておりますので、是非、演奏してみてはいかがでしょうか。
まとめ
以上、「株式会社パナムジカ」の販売実績から、合唱界で支持されている曲をまとめてみました。東日本大震災やコロナ禍の苦難に対して、未来への希望を歌った作品が上位にランクインしているのが特徴的です。
“合唱”の力は、困難に直面した時に勇気と希望を与えてくれるという事でしょう。また、信長貴富氏の作品が多いのも特徴です。信長作品の耳当たりの良いメロディーは、合唱に対して、難しい印象や敷居が高い、堅苦しい印象を持つが、合唱に興味を持つ一助になっていると思います。
知る人ぞ知る素晴らしい合唱作品は非常に多いです。是非、まずは合唱に触れてみて、その先にある奥深さを知っていただければと思います。
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