【TYO:2726】株式会社パルグループホールディングスが好調な理由と、今後の展望について考察してみた

株式/経済

 売上・利益ともに右肩上がりとなっている株式会社パルグループホールディングス(以下。「パルグループホールディングス」)。コロナの影響で一時期は苦しい経営となったが、1年でV字回復。アフターコロナの需要を掴み、堅調に推移している。好調の背景にはどのような要因があるのか、今後も成長していくのかについて考察してみた。

 なお、本記事は株式の売買を推奨するものではなく、“イキイキと豊かに生きていく”ため、世の中の経済情勢やトレンドを知っておく必要があるという考えのもと、対象企業の決算情報をもとに考察する事を目的としている。

※本記事のYouTube動画はこちら▼

パルグループホールディングスとは?

 パルグループHDは“衣料事業”“雑貨事業”2つの大きな事業を展開している。“衣料事業”は50以上のブランドを有し、“雑貨事業”は「3コインズ」を主力としている。2024年2月29日現在、大型ショッピングセンターを中心として、“衣料事業”は551店舗、“雑貨事業”は398店舗を出店している。

パルグループホールディングスの業績と要因

連結業績

 連結業績はコロナ期に停滞したものの、1年間でV字回復。52期(2024年2月期)は売上・利益ともに過去最高益を達成。店舗数は22店舗増えた点、EC売上が前期比122.3%となり、売上拡大に良い影響を与えた。

49期50期51期52期
売上高108,552134,200164,482192,544
営業利益1,3837,52015,82218,605
経常利益1,0527,66016,06118,839
当期純利益2704,0019,95512,845
連結業績:過去4期の連結決算(単位:百万円)

衣料事業の業績

衣料事業も売上・利益ともに最高益を達成。注目すべきは13.9%という高い利益率であり、これはファーストリテイリング社と同水準である。

 また、パルグループホールディングスは店舗数が551店舗に対して50以上のブランドを保有。「流行は12年周期で一巡する」という考えのもと、多種多様な顔ぶれのブランドポートフォリオ「パルマップ」により、流行や消費志向の変化で稼ぎ頭が失速しても、別のブランドが次の稼ぎ頭になれる態勢を整えている点も安定した成長を作れる要因と考える。

 参考までに、同業のアダストリア社が、グループで30を超えるブランドを国内外で約1,400店舗展開。ワールド社が66ブランド2,217店舗である。

49期50期51期52期
売上高75,55487,109105,782119,767
売上構成比69.6%64.9%64.3%62.2%
営業利益▲7593,35412,51616,609
営業利益率3.9%11.8%13.9%
衣料事業業績:過去4期の連結決算(単位:百万円)

雑貨事業の業績

雑貨事業の売上は右肩上がりであり、52期は過去最高を達成。一方で、営業利益は直近3期は減少している。有価証券報告書でも、事業等のリスクとして、グループ商品のほとんどを輸入に依存していることから、為替相場の変動による仕入れ価格の高騰によって売上総利益の悪化をもたらす可能性を指摘。まさに、雑貨事業は販売価格の上限を設定している商品もある事から影響が出ている。

49期50期51期52期
売上高32,90446,99758,55972,577
売上構成比30.3%35.0%35.6%37.7%
営業利益2,1444,1763,2851,987
営業利益率6.5%8.9%5.6%2.7%
雑貨事業業績:過去4期の連結決算(単位:百万円)

パルグループホールディングスの今後の展望

 全体感として、“衣料事業”については、上記の通り多種多彩なブランドを展開する事で、今後も安定的な売上増加が期待できる。EC売上も好調であり、EC売上高484億円は衣料事業の売上の40%を占める。これは、アダストリア社の28.3%、ワールド社の20.28%よりも高く、EC戦略に成功しているといえる。

 したがって、2025年2月期は、現時点で確定している40店舗の新規店舗の出店(前期比+18店舗)とEC売上の拡大(+116億円)によって、売上・利益の増加は可能であると考える。

 懸念事項として、3コインズの利益率の改善が図れるかどうかという点がある。ここについては、注視していく必要がありそうだ。

 その他、競合他社に比べて弱い点は海外進出である。ファーストリテイリング社をはじめとするアパレル大手は海外進出を果たしており、売上向上に寄与している。第三者目線からすれば、海外で活躍するパルグループホールディングスも見てみたい。

まとめ

 以上、パルグループホールディングスの好調要因と今後の展望について考察してみた。結論としては、優良企業であることが良く分かった。抱えている50以上のブランドのほとんどが社員・アルバイトからの提案でできている。今回、経営体制が刷新されたが、創業家によって売上・利益を拡大していったが、その根底には優秀な社員の情熱とそれを許容する経営陣との信頼関係があったからだと思う。

 これまでの経営理念・DNAの良いところは継承しつつ、高い利益率と多角化による安定的な収益基盤を持つ衣料事業、様々な企画・コラボを含めた画期的なアイデアを具現化した商品が充実している雑貨事業。少々の事では倒れない強さがあり、これからの成長を期待したい!

コメント

タイトルとURLをコピーしました