パリ五輪特集!(セーリング)

コラム

 イキイキと豊かに生きる為には、スポーツを通して得られるものも大きいと考える。という事で、今回はパリ五輪の『セーリング』について“これだけ押さえていたらセーリング観戦がより楽しくなる”というポイントに絞って、ご紹介していきたい。

 なお、押さえるべきポイントは①セーリングの歴史、②セーリングのルール、③日本人注目選手の3点に絞ってみた。特に、日本時間で8月3日に実施される“混合ディンギー”はメダル獲得の有力競技となる為、注目していきたい。

セーリングの歴史

 主たる推進装置として帆(セール)を使用する船をセールボートと呼び、セールボートを使用するスポーツやレジャーをセーリングと称し、2000年のシドニーオリンピックからこの名称となる。それまでは“ヨット競技”であり、こちらの方が馴染みがある方もいるかもしれない。

 ヨットはオランダで発祥したといわれる。交通手段が発達してない時代、大海原を渡るためにヨットは生まれ、当初は輸送や連絡などの実用的な用途に使用されていたが、レジャーとして利用したのは17世紀頃からとのこと。

 スポーツとしてのセーリングの歴史は、アイルランドで1720年に世界最古のヨットクラブが設立されたのが歩みの始まり。その後、1800年代中期よりスポーツとしてのセーリングが活発になっていき、1896年の第1回アテネオリンピックの競技にも採用された(悪天候により競技は中止)。

 なお、セールボートはディンギーとクルーザーに大別されるが、オリンピックに採用されるような小型セールボートをディンギーという。詳細を下記にまとめてみた。

ディンギークルーザー
オリンピック競技
距離短距離長距離
夜間航海
競技場所インショア(内海)オフショア(外洋)
セールボード競技におけるディンギーとクルーザーの比較。

セーリングのルール

 レースは、海面に設置されたマークと呼ばれるブイを決められた回数、決められた順序で回りながら、フィニッシュラインまでの着順を競う。種目は使用する艇(ヨット)の種類によって分けられ、どの種目もフィニッシュの順位の高いチームほど低い点数がつく。オリンピックではこのレースを10回行い、その合計点数の低い10艇が「メダルレース」と呼ばれる最終レースを戦い、最終的な順位が決定する 

コースと得点

レースごとの帆走指示書によってコースが定められており、6分前からスタートのカウントダウンが開始。2隻の運営ポートで挟まれた仮想のスタートラインを超えたらスタート。その後は指示に従ってマークを回航し、フィニッシュラインを横切ることによってフィニッシュとなる。

 コースは「上下コース・トライアングルコース・トラペゾイドコース」の3種類あり、オリンピックにおいては、台形コースとも呼ばれるトラペゾイドコースが採用されている。

 順位はゴールの到着順に点数化され、1位=1点、2位=2点、3位=3点などと低得点方式に基づき、最終レースの終了と同時に順位が確定され、各レースの合計点がもっとも低いチームが勝利となる。なお、スタートミスやレース中の違反行為によりペナルティを受けると、即失格になったり、レースの参加艇数に1を加えた得点が与えられたりする。

艇体(ボート)の大きさによる分類

 セーリング競技は艇体(ボート)の大きさによって下記の通り分類されている。パリ五輪のおける日程も含めてまとめてみた。

競技名日本人選手レース開催日メダルR開催日
二人乗りスキフ種目 49erFX級(男子)7月28日~8月2日
二人乗りスキフ種目 49erFX級(女子)田中 美紗樹
永松 瀬羅
7月28日~8月2日
ウインドサーフィン種目 iQフォイル級
(男子)
富澤 慎7月29日~8月2日
ウインドサーフィン種目 iQフォイル級
(女子)
7月29日~8月2日
一人乗りディンギー種目 ILCA7級(男子)8月1日~8月6日
一人乗りディンギー種目 ILCA6級(女子)8月1日~8月6日
二人乗りディンギー種目 470級(混合)岡田 奎樹
吉岡 美帆
8月2日~8月7日
二人乗りマルチハル種目 ナクラ17級
(混合)
飯束 潮吹
西田 カピーリア 桜良
8月3日~8月7日
カイトボード種目 フォーミュラカイト級(男子)8月4日~8月8日
カイトボード種目 フォーミュラカイト級(女子)8月4日~8月8日

日本人注目選手

 セーリングの種目のなかで日本人に適しているのが、470級(ヨンナナマル)。1976年のモントリオールオリンピックで男女区別なしの種目として採用され、1996年のアトランタ大会で女子ペアが銀メダルを獲得。そして2004年のアテネ大会では、470級で男女ペアが銅メダルを獲得している。

 今回も470級で男女混合に参加する岡田/吉岡ペアは2023年の世界選手権で金メダル、2024年の世界選手権でも銅メダルを獲得しており、スノーピークの事前予想でも銀メダル獲得を予想している。今回の大会でのメダル獲得に期待!

まとめ

 以上、今回はセーリング競技についてまとめてみた。セーリングの見どころは、全員が一斉にスタートするダイナミックな競技形式。海面を一斉に滑り出し、最初のマークへの先頭争いが激しく繰り広げられる。環境の変化、他の船との位置関係、自艇のコンディションなど、変動する様々な条件を計算し、臨機応変に戦術を構築する頭脳と、それを実行に移す技術が必要となる。日本選手の活躍を通して、セーリング競技が広がっていければと思う。

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