五輪3連覇のセルビアをあと一歩まで追い詰めたポセイドンジャパン!日本選手を越えていった強者を追って分かったこと(パリ五輪/団体競技)

コラム

 パリオリンピックが閉幕した。イキイキと豊かに生きる為には、スポーツを通して得られるものも大きいという考えのもと、大会期間中は今まで触れてこなかった競技に注目してきたが、日本選手の目覚ましい活躍を見て大きな感動をいただいた。

 一つの指標であるメダル獲得数も、金メダルの獲得数20個、メダル総数45個はともに前回の東京2020オリンピックに次ぐ歴代2位の成績である。一方で、残念ながらメダルに届かなかった選手もいるが、どうしてもメディアではメダリストが脚光を浴び、それ以外の競技に対する注目は低くなる。しかしながら、そういった競技も注目することで、新しい気づきや学ぶこともあると思う。

 今回は、残念ながら日本のメダル獲得はできなかったが、日本を破った相手国が見事メダルを獲得した競技にフォーカスし、イキイキと生きるヒントを探っていこうと思う。

注目した団体競技

競技最終順位日本を破った国日本を破った国の
最終順位
アーチェリー
(ミックス団体)
ベスト8アメリカ銅メダル
アーチェリー
(男子団体)
ベスト8韓国金メダル
水球(男子)1次リーグ敗退セルビア金メダル
バスケットボール
(男子)
1次リーグ敗退フランス銀メダル
サッカー(男子)ベスト8スペイン金メダル
サッカー(女子)ベスト8アメリカ金メダル

アーチェリー(ミックス団体・男子団体)

 アーチェリーはメダル獲得が期待されていた競技であったが、残念ながらメダル獲得には至らなかった。しかし、日本を破った相手方は、ミックス団体で銅メダルを獲得したアメリカ、男子団体で金メダルを獲得した韓国であった。特に、男子団体で金メダルを獲得した韓国は、その後の準決勝・決勝ではそれぞれ1ゲームしか落とさない圧倒的な強さを見せた。なお、古川選手はベテランではあるが、その他の選手は20代半ば、斎藤選手は19歳と若い。選手寿命が長いアーチェリーにおいて、今回の経験が次回のオリンピックに活きていくのではと思う。

水球(男子)

 水球は1勝もできないまま、1次リーグ敗退となったが、1次リーグにて今大会で3大会連続で金メダルを獲得したセルビアをあと一歩まで追い詰めた(15対16)。『水中の格闘技』と言われる水球はどちらかといえばマイナースポーツと言える。水球はインカレ26連覇を継続している「日本体育大学」が絶対王者として君臨している。しかし、“水球のまち”である柏崎に本社がある「株式会社ブルボン」の協賛を得て、2010年に「ブルボンウォーターポロクラブ柏崎」が設立されるなど、社会人になっても競技を続ける環境が整いつつある。このような地道な支援を受け、日本の水球レベルが底上げされ、2023年のアジア大会では53年ぶりに優勝するという結果が出始めている。この勢いが日本中に波及され、次のオリンピックではさらに強い“ポセイドンジャパン”を見れればと思う。

バスケットボール(男子)

 パリオリンピックにおいて、最も興奮を与えた競技の一つがバスケットボール男子である。特にフランス戦では勝利を強く意識した1戦であった。そして、そんなフランスは決勝まで進み、見事、銀メダルを獲得するに至っている。男子バスケットボールも水球と同じように、国際大会で勝てない日々が続いていたが、2023年のワールドカップで歴史的勝利を上げ、期待値が一気に高まった競技。スラムダンクを筆頭にバスケットボールを題材にした漫画やアニメの影響もあり、競技人口が増加。また、NBA選手の登場やBリーグの誕生によってレベルが高まっている。特にBリーグの誕生によって、バスケットボールの試合観戦が身近になったのは2016年とまだ日が浅い事もあり、今後、まだまだレベルが高まっていく事が予想される。

サッカー(男子・女子)

 パリオリンピックでは、男女ともにベスト8で敗戦してしまったが、男女ともに日本を破った相手国(男子はスペイン、女子はアメリカ)は金メダルを獲得。組み合わせによっては十分にメダル獲得が狙えたともいえ、選手は満足する結果ではなかったとは思うが、悲観すべき結果でもなかったと思う。男子はオーバーエイジ枠を使わずに、純粋に23歳以下のメンバーでオリンピックに臨み、この世代のレベルの高さを証明。女子も出場選手の半数以上が海外クラブで活躍している選手と、引き続き高いレベルを維持している。

まとめ

 今回、パリオリンピックにおいて、日本を破った相手国がメダルを獲得した団体競技(4種目)に注目して考察してみた。そこから見えてきたものは、思うような結果が出なかった事に対するマイナス面ではなく、それぞれの競技の未来に対する期待である。

 アーチェリーやサッカーについては、その時の組み合わせやコンディションによっては、十分にメダル獲得ができたと思うし、水球・バスケットボールについては、歴史的な1勝(ジャイアントキリング)が生まれてもおかしくない試合があった。

 そして、改めて選手の置かれている環境が大事である事も見えてきた。水球・バスケットボールに見る近年の飛躍は、競技に集中できる体制が業界として整ってきているか否かである事を大きい事を再認識した。相当な苦労があったと思うが、地道にその道で尽力してきた方の熱意に敬意を表したい。どうしても“結果が出た競技”に目を奪われてしまうが、このような競技にまずは興味を持っていこうと思う。

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